週末旅行 ~スキー&X'mas編~

<目的>
・ クリスマスイブに「きよしこの夜」の作曲された教会にてすごす
・ ドイツアルプスでスキー
・ アインシュタイン生誕の地に

<計画>
一日目: 家 -> Neulusheim -> Ulm -> Munchen
二日目: -> Garmisch-Partenkirchen -> Munchen
三日目: -> Salzburg -> Oberndorf -> Salzbirug -(夜行)-> Karlsrue -> Neulshiem

一日目: 12/22(土)

今回の旅の期間は、クリスマスイブを含む。
日本でのイブは毎年、近くの教会の集会に参加している。
幼少時に教会に通っていなかったら、多分こういう欲求も起こらなかったと思う
のだけれど、思いつくところ、僕はキリスト教徒ではないのにこうする理由は
以下3つ。

・ 賛美歌を歌いたい(音楽として)。
・ キリスト教のことを忘れたくない。キリスト教の<何か>を見逃したくない。
・ <教会に集う人々>の持つ雰囲気が好き。年に一度くらい、囲まれたい。

今年も例にならって、でも、せっかくヨーロッパなので・・・と考えていたのだが、大学
時代の後輩に、「きよしこの夜」の作曲された教会に、イブの日に世界からこの曲を
愛する人々が集まって、それぞれの言葉でこの曲を大合唱するというイベントがあると
聞いて、それにいってみることにした。
どう考えても Sounds nice なイベントではありませんか。

場所はザルツブルグのちょっと北。
3日あるので、ザルツブルグだけでは飽きてしまう。
なので、途中にあるミュンヘンやその南のドイツアルプスにて前半を過ごすことにした。
最初に降りた駅はウルム。
世界で一番高い大聖堂とアインシュタインゆかりの地というのが魅力。
雪の積もった駅前の通りを歩くと、その向こうに大きな聖堂が見えてくる。

駅前通の向こうに、大聖堂
ヨーロッパの街は、教会の周辺が広場のようになっていることが多く、この季節、 ドイツではクリスマスマーケットが大概そこで行われている。 ここも例にもれず。 午前中から開いていたけれど、さすがににぎわいはそれほどではない。 さっさとすりぬけ、大聖堂の中を見て、上に登る。 目が回りそうにながらひたすら登る。誰も他に登る人はなし。 冬で凍結中だからかなぜなのか、一番上の方まではいけなかった。 それでも、さすが世界最高。景色は悪くなかった。

大聖堂の上から北東
降りて降りしきる雪の中を歩く。 「アインシュタインの泉」を探してうろついていると、アインシュタインという 名前のついたカフェ発見。

夢にまで見たアインシュタインカフェ
中はアインシュタインの石膏像が置かれている以外、普通のカフェ。 若い人がたくさんコーヒーを飲んでいた。 クリスマス前の宿事情が不明なまま宿を予約していなかったので、ミュンヘンに遅くな る前につきたく、ゆっくりはしていられなかった。 アインシュタインの泉を探さねば。 どうしてもそれらしきものが見つからなくて、人に聞くと「それそれ」って教えてくれた。

アインシュタインと猫背のチベット人
中身不明な博物館(閉まっていた)の前にあったモニュメントがどうやらそれらしい。 ・・・それで? とつっこみたくなるようなモニュメント。 でも、写真にあるように、顔の雪のかぶり方がなかなか味があった。 この街の滞在時間は2時間計上なので、ドナウ川沿いの雪道をたどって駅に戻る。 途中、水路に囲まれたプチヴェニス&アムスを通って 駅でケバブを買って、ほうばりつつミュンヘンへ。 宿は限りなくユースホステルなところがあっという間に見つけられた。 2泊で 78DM(4500 円くらい)と安いが、5人部屋。 鍵のないロッカーに荷物を入れて街へ。 とりあえず中心部の教会などをさらっと見て、ドイツ博物館に。 ここは、科学博物館のようなところ。だだっぴろい建物の中に理学、工学に関して 中級レベル~の展示が非常にたくさん並んでいる。 子供の頃、つくばのどこかの研究所の付属の科学館を心躍るようにしてみた記憶が 思い起こされる。 まだあったら、自分の子供を連れて行きたいな、と思った。 僕はやはり科学の世界を愛する人種と再確認。 ここは、ちょっと子供にはつらそうで、大学までに勉強したことの復習になるような 感じだった。 ドイツ博物館で閉館時間の5時を迎えると、街はもう暗い。店も閉まっていた。 中心部に戻って、St ペーター教会の鐘楼の上に登る。 結構な年と思われるおばあさんがこの階段を登っていて、びっくりした。 先にと僕に道を譲ってくれた。 そして、今度は階段を降りてくる二人組。 道を譲ってもらって、いつものように「Danke」と言ったのだが、二人組は顔を見合 わせてかなり何か言いたげな模様。 おかしいと思い顔を上げると、その二人はどうみても日本人。 恥ずかしいので1段飛ばしで階段を駆け上がった。 途中で5時30分の鐘がなる。周囲の壁がびりびりと震える。

St ペーター教会上よりミュンヘン市庁舎
ここからの眺めはなかなか。 市庁舎とその下に広がるクリスマスマーケット。 そして、市庁舎の2階でブラスと合唱のコンサートが始まった。 マイクで増幅されて広場に響いていたが、これが期待を裏切って上手だった。 この時間に展望台にいた、イタリアカップルと例のおばあさんはブラボーを連発。 しばらくみんなで聞き惚れていたのだが、閉館の時間となってしまい、追い出された。 1人旅には課題となる夜のすごし方探し。 一応、コンサートの情報を捕獲していたのだけれど、それほど魅力的なプログラムで はなかったので、何かゆっくり食べにいきたい気分。 食べたいというより、世界一おいしいと同僚から聞いていた、この地方特有の 「ラオホビール」を飲みたかった。 1人で飲むのもなんなので、暇そうな人を発掘してこようと思って、一旦宿に戻って みる。 自分の部屋に入ると3人の人がいた。1人の日本人男性と2人の韓国人女性(男女混合 ドミトリーだった) 韓国女性はマクドナルドを食していたので、彼を連れ出す。 彼は、夜行列車でパリに行くためのチケットを手に入れたがっていたのだけれど、買い方が いまいち分からない上に、英語が全然だめということで、先輩面こいて駅に一緒に購 入しにいった。 簡易寝台の予約料金(運賃部分はユーレイルパス)ミュンヘン → パリは 25DM(1300円) くらいの値段で、距離がだいぶ長いのにザルツブルグ → カールスルーエの切符の半額 近かったので、これは何かの間違いだと思ってしつこく切符の内容を確認してたら、 窓口のおばさんはかなり不機嫌になって半分喧嘩状態。 ドイツに来たての頃ならすぐにくじけていただろうに、慣れたら多少はたくましくなっ たなあと思った。 結局、寝台料金は実際に安かったのだった。 無事購入し、街の中心にごはんを食べに行く。 (たしか)ヒトラーが演説したことで有名な広いビアホール。 バンドが生演奏していて、人々が歌って騒いで。ドイツ人でないかのように皆が陽気だった。 ラオホビールには巡り合えなかったが、よい時間だった。コンサートより間違いなく。 連れはこれから就職活動という大学生。 カップラーメン生活を耐え忍んで、冬休みをすべて使った初の海外一人旅を決行した 3日目とのこと。 旅の話をするおきまりから始まって、置いてきてしまった彼女とのこととか、バイトの こととか、これからのこととかをしゃべった。 彼は就職先にて何をしたいかとかは全然決まっていないが、海外で仕事できるようなと ころで働きたいという希望だけはもっていたので、僕のいる会社を勧めてみた。 数えてみると、入社一年半で3回海外に行って、それにかこつけて13ヶ国周った。 英語が堪能というわけでもないのに、結構な話だ。自分でも意外な展開。 彼は、次の日にはもうインターネットカフェに行って入社希望のエントリを入れたそうな。 これで彼がうちの会社に来るようなことがあれば、彼の人生は旅先でのこの出会いにより 大きく変わったと言えるわけで、「運命の出会い」と呼べるだろう。 思えば僕が今ドイツにいるのも、小学校の同窓会でひさびさに再開した友人に勧められ たからだし、同窓会が開かれたのは、幹事だった自分の気まぐれだし。 一歩間違えば(?)今ごろ永平寺で雪に囲まれてお経読んでた可能性も十分あっただろう な、などと考え、偶然のようなことで人生は大きく変わってしまうということを再確認 してしまった日だった。 なぜこんなことを書くかって、今回の旅に持ってきていた本が、木田元の「偶然と必然性」 という、上記のようなことに想いを馳せる土台作りにぴったりのものだったからなのだろう と思う(本の内容自体は哲学集団内輪ネタに終始して実にくだらなかった)。 ほろ酔いで寒い寒いミュンヘンの道を歩いて戻る。 韓国二人組みは二日とも22時には眠っていた。 もう1人のルームメイトはアメリカ人だったのだけれど、彼のいびきは僕が27年の人生 の中で出会ったものの中で、質量が最高のものだった。 「意識してもあの音は出せないのでは?」という音で、疲れているのにも関わらず深く 眠れない。 時に一瞬静かになると、その後は英語で寝言を叫ぶのだった。 次の日、他の3人と「すごかったねー」と体験をシェアして盛り上がった。

二日目

二日目は南のドイツアルプスに日帰りでスキーに行く予定。 日の入りが早いのでさっさと行かなければあまり滑れないので、朝早起き。 駅の外で、寝袋にくるまって野宿している女性を見た。 バックパッカーっぽいが、この寒さの中、根性があるというか命知らずというか。 7時の電車に乗る予定だったけれど、これは30分遅れ。 到着が遅れるのはよくあったけれど、出発がここまで遅れるのは始めて。

登山電車を待つ人々。山の上は雲に閉ざされている
結局、色々と遅れて予定より2時間ほど遅れてスキー場に至る。 ドイツアルプスの中にあるドイツの最高峰ツークシュピッツェ(2600m くらい?)の 上のほう。 今回は、スキーをしたいというよりも、スキー場からのよい景色を期待していたのだ が、雪と雲がすごくて、結局一度も「展望」と呼べるものを見れなかった。 ツークシュピッツェの頂上も一度も拝めなかった。

右真中の氷の像を撮ったつもりが、吹雪の証明図になった
天候は徐々に悪くなって行き、スキーのコンディションとしても最悪。 旗と人以外何も見えない。 それらのものがなかったら、自分が今ちゃんと止まっているかいないのかも視覚から は判断できないくらいに視界が悪い。 斜面にあまりこぶがなかったからよいが、あったらかなり悲惨だったと思う。 そして、寒い。 これほど冷たい環境にいたことは、これまで多分ないと思う。 普通の格好に上下ウインドブレーカーを付け加えただけの装備。 でも、顔の部分が一番つらかった。外気にちょっとでも触れている部分は猛烈に冷たい。 2重帽子とマフラーのマスク化でなんとかしのぐ。 サングラスは呼気が氷結してすぐに見えなくなり、拭いても拭いてもきりがない。 サングラスを外せば、雪が容赦なく目に入ってきて、これまた何も見えない(そして 寒い)。 こけて怪我でもして動けなくなったら、誰にも発見されず、すぐに雪に埋もれて死亡 しそうな環境。 もったいない根性でそれでも滑っていたけれど、今から考えると楽しめないスキーを そこまでしてやる必要もなかった。 下山電車の終電は16時。僕は15時の便で帰ることにした。

雪の中に映えるツリー
宿に戻ると韓国二人組みはまたもやマクドナルドを食している模様。 スキーに日帰りで行ってきたというと、二人は興味を示していたけれど、今日かかった 予算の話をしたら、意気消沈してしまった。 今日、スキーにかかった費用は、 電車代 40DM(2300円、Weekend 1日有効のローカル線乗り放題チケット) 登山列車+リフト券が 45DM くらい レンタルスキー(3点セット)が 35DM くらい だったと思う。 ごはん代などもすべて入れて日帰りスキーが一万円以内だから、安いといえば安い けれど、貧乏旅行中にはいたい出費額だろう。 彼女らは夕ご飯の内容を見てわかるように、かなり切り詰めてやってきているらしい。 僕はまた、昨日の彼とドイツっぽい店を探して街をぶらつき、適当に入った。 今回はラオホビールに巡り合えた。 世界一おいしかった。 昨日のいびき源は宿を出て行ってしまったため、今晩は4人で安眠。

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