治安は総じてよさそうだったが、アンマンはエジプト以上に女性を外で見かけない。夜は特に男率98%。女性の一人歩きは度胸とリスクテイクが必要。スイーツの店も(溶かしたチーズののったもちもちしたやつが激うまだった)男だらけで滑稽なほどであった。
アンマンの冬は東京並に寒い。冬の宿探しは要注意。初日に泊まったファラ・ホテルというところはガイドブックでは評判となっていたが、暖房がついていたものの窓風がひどく、毛布一枚では到底しのげない寒さ。すべての衣服を羽織っても眠れず、古今になくお寒い一夜を過ごすはめとなった。シャワーもかろうじて浴びれる暖かさ。旅で疲れている身体に風邪をひけといっているようなもの。情報を集めて暖かい安宿に乗り換えることにした。
ヨルダンでの時間は5日。無駄にはできない。次の日にメインイベントのぺトラまで行ってしまいたい、と思っていたところ、宿のロビーにいたNZとAU人カップルが、タクシーをチャーターして死海をはじめとする見所をまわりながら、夜にぺトラにたどり着く予定とのこと。これに同乗させてもらうことにした。ラッキーである。(一人20JDという話だったが、次の日には25JDになぜかなっていた。4人で100JDだが、色々な場所に1日かけていけるのだから昨晩のタクシーよりずっとよい)
バスではゆけないキングスハイウェイというとても景色のよいグランドキャニオン的風景を見せてもらうコースをたどる。モザイク絵で有名なマダバ、モーゼ終焉の地と呼ばれるMtネボ(死海~イスラエルが見渡せてnice view) → カラク(そこそこ大きな城だが内部はがらんどうで退屈) → 死海 → ジュバック(丘の上に立つ城、というシチュエーションだけ素敵) → ぺトラ とまわった。
が、一気に標高を下げ、死海に着くと、確かに暖かい。br>
世界一標高の低い場所だけある。水はさらに暖かい。ダハブでダイビングするより楽なくらい。
新聞を忘れたことを公開しつつ、しばらくぷかぷか浮いて楽しんだ。浮きすぎて足が水を捕らえられないため、クロールとかが難しい。といっても寒いことには違いない。長時間は楽しめない。下にたまっている粘土上の泥は美容にいいと言われるが、そのことを忘れていて私は身体に塗らなかった。
が、あがったあと、驚くほどに肌がすべすべになっていた。
びっくりして、お土産ショップに走って塩や石鹸を買った。死海いいぞ!
夜前にぺトラに到着。暖かく快適だったクレオペトラホテル(ダジャレね)では、ロビーでインディージョーンズを見せてくれた。クライマックスで聖杯を求めてぺトラ遺跡に入っていくインディーたちを見て、明日に期待を膨らませるのであった。
入場してから、最初にして最大の見所の例の遺跡 カズネ・ファルウン にたどり着くのに30分歩く。切り立った谷の間を抜けると唐突に遺跡が! という劇的なシーンを期待して、スプラッシュマウンテンのように何度も裏切られる。そして、あまり期待していない時にそれは姿を現す。やはり、すごい。
早朝のため、例の遺跡の場所にも数人しかいない。こういう場所は静かな環境で見るほうが歴史の声を聴くのによい。この時間では日の出には間に合わない。が、そもそも例の遺跡は岩に囲まれているため、朝日に照らされない。9時くらいにならないと照らされないようだった。
残念ながら奥には入れなかった。
エジプトの遺跡とは違い、内装は凝っていない、というレベルを超えて何もない。空間が見えただけだった。
ぺトラには無数の遺跡があるが、カズネ・ファルウンと並んで素敵なのは一群で最大の建造物であるエド・ディル。これは山の上まで30分ほど歩くかロバに乗っていくかしないといけない。
そこに行く山道の看板には「この先ガイドがいないと危険」とある。周囲には人もいなかったのでしょうがなくロバに乗っていくことにしたが、道は非常にわかりやすく安全。商業目的の看板にだまされた。道の途中には山羊がいたりした。
エド・ディルも美しい。そして、その先にビューポイントがあり、見渡せて景色がよい。延々と広がる荒野山。ここに過去、都市があって多くの人が生活を営んでいたということが想像できない。神よ、もし願いが百つかなうなら、当時の姿を一目、見せてください。
今回は帰りのバスの都合上、13時過ぎに引き上げた。が、主な見所をまわるだけならこの時間で足りる。私は間違った道を一度行ってしまい、1時間ほどロストしたおかげで一部見逃したが。丸1日あればきっと飽きるまで(エジプトの続きだったからかも)堪能できると思う。
ぺトラはさすがにぺトラだった。
個人的にはルクソール神殿などの方が内部まで精緻な分感激だったが、こちらはその分、遺跡を取り囲む環境(自然)がすごい。どちらも並んで世界有数の遺跡であることは間違いないだろう。
ただ、修復は途上にあり、放置された岩が無造作に転がっている場所も多かった。10年後にはまた違う姿を見せてくれることだろう。